あくびのひとりごと

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第2回 「ワルラドール・デイ・ドリーマー その1」

結婚2年目のある日、借家住まいの身にも関わらず、我が家にラブラドール・レトリーバーの子犬がやって来ました。
どっしりとした風格と気品に満ち溢れ、盲導犬としても活躍する明晰な頭脳と忍耐力。
そんなラブラドールは私の憧れの犬種でした。
ショッピングセンターの特設会場が彼との出会いの場所でした。人気の小型犬が並ぶ中、なぜかこの子だけが狭いケージにギュウギュウ詰めで「ここから出してくれぇ」と、もがいていました。主人には、はっきりと聞こえたそうです。
「ぼくをつれてってください。ごしゅじんさま」というその子の声が。
こうして生後2ヶ月で我が家の長男となった『マック』が、これからしでかす数々の事件をこの時の私達はまだ知る由もなかったのでした。
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彼の登場によって新婚生活は一変しました。
オーダーであつらえたカーテンは引き裂かれ、テーブルの角は全て面取り、カーペットのあちこちにオシッコの染みを作り、座布団の綿が散乱し、リモコンを次々と噛み砕く、小さな悪魔との戦いの火蓋が切られたのでした。

盲導犬になれるラブラドールがこんなだなんて絶対におかしい。この子は脳に障害があるのではないかという私の心配をよそに、主人は寝転んで「たかい、たか〜い」と遊んだり、お風呂にも一緒に入る溺愛ぶり。
想像していたのと何か違うんだけどな、と首を傾げている間に、気付けばマックは体だけは立派な大型犬に成長していました。
しゃがんで「マック、おいで〜!」なんて言ったもんなら、全速力で体当たりされて、吹っ飛んだ私を踏み付けて、そのままどこかに消えて行くような、飼い犬の風上にも置けないやつでした。

普通のケージからはいとも簡単に脱走を繰り返していたので、頑丈に手作りした特製ケージで留守番をさせていたある日のこと。
帰宅してみると何か部屋の様子が今朝とは違うような……。
ひとりぼっちの寂しさと腹立たしさからか、マックはケージの隙間からカーペットを引きずり込み家具もろともケージの周りに集めてあったのです。
これ、どゆこと??
まずは大きく深呼吸してみよう。
頭の中を整理している私達に、悪魔は満面の笑みで「おっかえり〜〜!」と、はしゃいでみせるのでした。

マックを連れてスーパーに買い物に行くと、しっかり繋いだはずのリードを解いて、店先に立っている事が多々ありました。
あいつは犬猫界の引田天功だったのではないかという思いが、オリーブの首飾り(手品でよく流れるあの曲です)と共に今でも頭をよぎります。
ある時、本屋で立ち読みしていると、子供が泣き叫んでおり、「大丈夫よ、ただのワンちゃんじゃないの」と言う母親の声。
もしや!
振り返ると「母ちゃん、そろそろ帰りませんかぁ?」ってな顔でマックがウロウロと本棚の間で私を探しているではないですか。

またある時は、月末で混み合う銀行のATMに並んでいると、何か横でみんながザワザワしているような……。
何かあったのかしら?と横を見ると、2台向こうのATMの前から3番目に並んでいるのはマックでした。
口座も持ってないくせになんでアンタが並んでるんだよ!その肉球でタッチパネルは無理だろがっ!
恥ずかしいやら腹がたつやらで、逃げるようにその場を後にした事は言うまでもありません。

そう、我が家にやって来た子犬はラブラドールではなく、
ワルラドールだったのです。
これはまだ彼の武勇伝のほんの一部にすぎません。
この続きは次回ゆっくりお聞かせするといたしましょう。
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# by norichinnoakubi | 2016-04-03 17:19 |

まえがき

えー、この度はエッセイとかコラムと言うと聞こえは良いのですが、そんなたいしたものではなく、
その昔、インターネットなるものが出始めの頃に少しだけやっていたメールマガジンがあるので、その時と同じ「あくびのひとりごと」を再開しようと思います。
そう思い至るには、紆余曲折あるのですが簡単に言うと人生も半ばにさしかかり、あんなこと、こんなことを書き留めておくのも面白いかなと単純にそう思っただけのことで。
ですので、思い出話もあれば時事ネタもありのひとりごとを、病院の待合室での暇つぶしなんかで読んでもらえたら幸いかと存じます。
中には思わす吹き出してしまうような笑えるネタもありますので、電車の中で読む場合にはご注意を。

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# by norichinnoakubi | 2016-03-13 19:27 | 日常

第1回 「下戸はつらいよ」

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人にはどうしてもかなわない夢があるものです。
たぶん努力と根性ではどうにもならないことなのですが、これだけは出来ることならやってみたい。
それはお酒を飲むことです。
祖父祖母父母妹全員下戸。
私は注射のアルコール消毒にさえ負けてしまう、正真正銘のクィーン・オブ・下戸なのです。
大勢で居酒屋に行くと、
「まずみんなビールでいいかな?」
「いいでぇ〜す!」と、さぁ、これから呑むぞ騒ぐぞ盛り上がるぞ!という雰囲気の時に
「あ、あの私、パインジュースで……。」と言わねばならぬ時のあの辛さ。
そして、えっ?呑めないの?その顔で?という周りの冷ややかな目線。
中には「あら、誘って悪かったねぇ」なんて言う人まで現れたりして。
酔ってしまえばみんな人の事なんか気にしてないので私も同じようにバカ笑いをして、ボケる若者にツッコミ入れてみたくらいにして、大いに楽しむのですが、試練は会計の時にもやって来るのです。
「あくびちゃんは呑んでないから二千円でいいよ」と割り勘に混ぜてもらえず、楽しかったな名残惜しいなと思いつつも、なんとなく「私も二次会行きます」とは言いにくい下戸の心理。
ある時なんか会社の上司から「下戸がいると何でも覚えていられちゃうから困るんだよな〜、へへへ」と言われる始末。
私だって好き好んで下戸やってるわけじゃないんだよ。
飲めるもんなら飲みたいさ。
もし生まれ変われるなら、次は大酒飲みになって、「まずはビールでしょ。モチのロンでしょ、ワッハッハ」なんて言いながら、割り勘の仲間にもしっかり入れてもらって、段差につまずいて「やっだ〜、あくびさんもう酔ってるんですかぁ?」なんて笑われながら「もう一軒行こうぜ!」と言ってみたいのです。

世間は下戸にちょいと冷たすぎやしませんかってんだ。
下戸は下戸なりに頑張ってるんだ。
アルコールは何ページもメニューがあるのに、ソフトドリンクは最後の最後に「一応書いておくね」程度しかないけれど、それでも文句を言わずに選んで楽しんでるさ。
焼き鳥にジンジャエールのどこが悪い。
フォアグラにコーラで何か問題でも?
(なんか調子出てきたぞ。)
酒飲みは下戸の存在を忘れてはいませんか?
ウーロン茶を注文すると「あくびちゃん、車?なんだ残念だな」ってさ、電車でウーロン茶ですがそれが何か?
世の中の下戸諸君!もっと堂々と飲み会を謳歌しようではないか。
そして酒飲みのみなさん、下戸は下戸なりに酔わなくても同じように楽しんでますので、どうか二次会にも誘ってくださいね。

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# by norichinnoakubi | 2016-03-13 13:22 | 日常